〜商店街のネットワーク作りを目指す〜

和歌山市商店街連合会
〜商店街のネットワーク作りを目指す〜


【和歌山市商店街連合会の概要】
◇住所:〒640-8156 和歌山県和歌山市七番丁23 和歌山市商工振興課内
◇組合員数:商店街数20 、商店数705
◇商店街の状況:今年核店舗が2 店舗閉鎖し、集客力が低下している、
入れ替えは年間4〜5 店舗、後継者は6 〜7 割

【ホームページ活用事業の概要】
◇ホームページ名:和歌山市商店街連合会
(http://www.nnc.or.jp/~maz/interml.htm )
◇主催者:和歌山県商店街連合会
◇主なコンテンツ:商店街紹介のポータルサイト、活動報告が中心
◇開設時期:平成11 年6 月、カウンターも同時
◇運営体制:理事会を月に1 回開催、会員の掲示板を活用してやり取りも行っている

   図表2 −9 −1 和歌山市商店街連合会トップページ


(1 )商店街の概要
 和歌山市商店街連合会は市内にある23の商店街から組織される連合会である。
 内19の商店街商店街には青年部組織があり、水平的な交流も行なわれている。
 また、和歌山市が策定した中心市街地活性化計画の商業の活性化事業の推進を
 になうTMOとして株式会社ぶらくりが認定されているが、この活動にも商店
 街が深く関与している。(後述)

(2 )商店街ホームページ開設の背景・目的
 ホームページの担当者である松並氏は以前よりパソコン通信を行なっており、
 市商店街連合会青年部長へ就任後もパソコン通信による情報の提供や収集を市
 内の商店街関係者だけではなく全国に対しても行なってきた。そのため、イン
 ターネットについても早い時期から注目しており、地元にプロバイダーができ
 たことを契機に商店街連合会としてのホームページの開設に至った。

 松並氏は市商店街連合会青年部長という立場から市商店街連合会のホームペー
 ジを自ら構築し、その中で加盟各商店街の紹介ページも作成した。
 市商店街連合会としてのホームページは参加の商店街に対する情報提供を第一
 の目的としている。また、ホームページを持つことで全国の他の商店街との情
 報交換を可能にすることも目的のひとつであった。これは、一般にホームペー
 ジ開設に取り組む商店街がどのような形をとるにせよ最終的には商店街や商店
 の売上を志向しがちであることと一線を画している。

 このことは、松並氏がパソコン通信の利用者であったことの影響が大きいと思
 われる。
 インターネットに先駆けて普及していたパソコン通信は、利用者同士のコミュ
 ニケーションの道具として発達し、そこには現在インターネットに見られるよ
 うな「商売」という意識は希薄であった。松並氏はパソコン通信の精神をホー
 ムページの開設に持ちこんだため、商売ではない目的を構成したのではないか
 と推察できる。
 
 情報の交流には自らの情報発信が欠かせない。このため、松並氏は他に先駆け
 てのホームページの開設を果たしたのである。
 これらを通じて松並氏は、「全国の商店街ホームページとヨコのつながりを作
 りたい」としている。

(3 )特徴的なコンテンツ
 市連合会のホームページは連合会の報告、簡単な紹介といったシンプルなもの
 になっている。これはあくまで市商店街連合会のホームページは広報等の情報
 提供が中心であり、実際のホームページの運用はそれぞれの商店街が独自にや
 るべきであるとの考えからである。

   図表2 −9 −2 和歌山市商店街連合会サイトマップ


(4 )運営コスト
 ホームページ自体は松並氏が作成し、独自のドメインの取得等を行っていない
 ことから特に費用は発生していない。サーバーのスペース等は松並氏の持ち出
 しとなっている。

(5 )運営体制
 市連合会のホームページについては明確な運営組織というものは置かれていな
 い。実質的には担当者である松並氏が作成し、やはり連合会で理事を務める森
 下氏がその修正等のサポートを行なっている。
 松並氏の他、市商店街連合会の幹部は現在では各商店街で理事長等の職にある
 ものの青年部時代からのつきあいであり、情報の交換は密に行なわれている。
 特に最近では理事会に加えて専用の掲示板での情報交換もなされている。

(6 )他の商店街へのホームページ開設の波及
 松並氏の個人的活動として始まったホームページの開設であるが、市商店街連
 合会青年部のヨコのつながりから影響を受け、市内のいくつかの商店街でホー
 ムページの立ち上げが草の根的になされている。

 @市駅さくらモール商店街
  特に松並氏のサポート役である森下氏は影響を受けており、自身が理事長を
  務める「市駅さくらモール」のサイトは一人で立ち上げを行なった。森下氏
  は松並氏のアドバイスを受け、平成11 年12 月に市駅さくらモールのホーム
  ページを仮オープンしている。この時はわずか2ページのホームページであ
  ったが、その後手を加えて平成13年9月26日に本格オープンに至った。

  現在では商店街に加えて森下氏が経営するビジネスホテルでもホームページ
  を開設している。市商店街連合会青年部で松並氏のサポート的な役割を果た
  すことが多い森下氏は、現在では連合会のホームページでも松並氏が立ち上
  げたホームページの運営や手直しを分担している。なお、森下氏が経営する
  ビジネスホテルではホームページに特に注力している訳ではないが、それで
  も毎月ホームページから数件の注文があるため、インターネットの可能性に
  ついては大きな期待を寄せている。

  また、商店街会員に対してパソコン教室を行なっており、現在まで7回開催
  している。




 A手平連合商店街
  手平連合商店街の会長を務め、市商店街連合会の会長でもある饒平名氏も松
  並氏の影響を受け、意欲的な取り組みを見せている。現在は連合会の会長を
  務めているとはいうものの青年部活動では最年少であった饒平名氏は松並氏
  を中心とした取り組みに参加してインターネットの可能性とパソコンに対す
  る知識の必要性を理解し、自らが理事長を務める手平連合商店街では全商店
  にパソコン購入を補助(一律10 万円補助、残額は自己負担)した。

  饒平名氏によると、現在の商店街は組織としての求心力を失っており、イベ
  ント等を先導することは非常に難しい状況にあるため、加盟店の意識づけや
  啓蒙に注力しているとのことである。手平連合商店街は、長期にわたってス
  タンプ事業を実施しており自己資金が内部に留保されているため、このよう
  な思いきった投資が可能であるという。また、会員の半数以上が複数店を保
  有しているという「経営」意識の高い商店であることも理由の一つである。
  同商店街は10年前にも同様の方法で商店街の全店にFAXを一括で導入した
  経験をもっている。

  同商店街では導入したパソコンを活用すべく、現在加盟店を対象にパソコン
  教室を開催している。
  また、ホームページは同商店街の会員が作成し、平成13年9月1日より公開
  されている。

 これらの取り組みに共通しているのは商店街のホームページの設置場所を和歌
 山情報化センターのサーバーにしている他は公的に資金の援助等を受けていな
 い点である。

 一方、中心市街地活性化の活動の一環として市内中心部にある商店街ではホー
 ムページを立ち上げている。このホームページはは和歌山大学との産学交流事
 業としてシステムの開発が行なわれ、ホームページの充実を図ると共に将来的
 には無線LANの導入なども検討されている。こちらについても市商店街連合
 会を通じて情報の交換がなされている。

 また、松並氏は県、全国の商店街連合会でも青年部の役職をもっており、その
 中で多くの情報の交流を可能にしている。

《事例1 》TMO で行われているホームページプロジェクト

 和歌山市が中心市街地の活性化事業を実施するために中心市街地活性化法に基
 づき設立したTMO(タウン・マネジメント・オーガニゼーション:街づくり
 機関)が「株式会社ぶらくり」である。TMOは中心市街地活性化事業の中で
「商業の活性化」に関する諸事業を企画、推進する組織であり、その中でも第3
 セクター方式で株式会社の形態をとるぶらくりはより機動的な活動ができる主
 体として期待されている。
 ぶらくりは、中心市街地活性化のための活動の一環としてホームページに関す
 る事業を実施している。

       図表2 −9 −3 ぶらくりトップページ
   

 @事業の概要
  TMOの行なう中心市街地活性化事業のひとつとして和歌山大学と産学共同
  研究で「掲示板の分析システム」の開発を行なった。これは、ホームページ
  上の掲示板に書き込まれた意見を抽出、分析し、素早い対応ができるように
  するシステムである。現時点ではまだ稼働していないが、TMOと大学が共
  同して行なう事業というモデルは画期的なものである。もちろん、このシス
  テムには掲示板機能を持つホームページの存在が前提となるが、こちらも和
  歌山大学の学生の協力により開設されている。

  このホームページおよびシステムの目的について、和歌山大学の満田成紀教
  授は「ホームページを活用した中心市街地における新たなコミュニケーショ
  ンの構築」と位置付けている。これは従来から存在する商店街等のコミュニ
  ケーションを否定したり、まったく別のコミュニティーを構築したりするも
  のではなく、商店街や地域が従来から持つコミュニティーをホームページに
  よって拡大していこうというものである。

 Aホームページの内容
  ぶらくりのホームページは店舗検索、イベント等の情報提供、掲示板等から
  構成されている。店舗の紹介は中心市街地エリアの商業者のうち、協力の意
  思のある商店のみを紹介している。取材、およびページの作成は和歌山大学
  の学生が行なっている。
  この中で、掲示板については書き込みが多く、活発な議論がなされている。
  但し、掲示板に当該エリアの商業者が参加することはまだ少ない。

 B運営の体制
  ぶらくりのホームページに関する活動では地元商店街の店主の参加は極めて
  限定的である。実質的に企画、運営に携わっている商業者は祖和氏のみで、
  他の商業者はホームページに掲載される情報を提供しているに過ぎない。ぶ
  らくりの活動は専従職員と学生、その他街の有志により行なわれている。
  市商店街連合会はぶらくりとの情報の交流を行なっており、組織的にも関係
  の深い立場にあるが、ホームページの運営には直接は関わっていない。



調査日:平成13年11月8日
調査協力者:饒平名雅弘氏(和歌山市商店街連合会 会長)
      松並 康博氏(和歌山市商店街連合会 青年部長)
      森下 幸生氏(市駅さくらモール 理事長)
      生原 敏和氏(株式会社ぶらくりプロジェクトマネージャー)
      祖和 利暢氏(株式会社マミー 代表取締役社長)
      満田 成紀氏(和歌山大学システム工学部 デザイン情報学科講師)
      和歌山市役所職員

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送